すい臓癌で闘病中だった父が、ついに、3月14日ホワイトデーに亡くなりました。
あり得ない暖冬で、一度もセーターを着ることもない中、突然、東京に雪が降りました。
(寒い寒い雪の日で、「豆子の涙か、と思った」と、いつも気にかけてくれていた先輩からメッセージをもらいました。)
父は結構急に脈が弱くなってしまい、病院から連絡を受けて駆けつけましたが、最期には間に合いませんでした。
幸い、痛みなく、眠るように、息を引き取ったと看護師さんに言われたのが、救い。
(さらに、父の「ねー、僕、死因は、すい臓癌がいいなあ。肺炎とかじゃなく。分かりやすいじゃん?」と、冗談めかしたかなり本気の希望通り、すい臓癌でした。ナイス!)
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さて、時にはみんなで雪崩のように涙を飛ばしつつ、2日後に家族で葬儀を終え、休む間なくバタバタと諸々の事務手続きがスタート。
ふと気づくと、あれからまだ10日しか経ってないことに驚きます。
今までの父との過ごし方
父が亡くなってから、毎日こまごまとしたことを思い出したり、あーもう思い出しくないなー、とブツブツつぶやく日々。
が、鮮明さがすでに、薄くなってきたように感じます。
(毎日、ほんとにばたついてるからってのもあるんでしょうけど。)
それも少し寂しいので、父について、感じたことを書いておくことに。
父と24時間一緒に暮らした、一時退院して家で暮らしていた1月8日~2月27日の1カ月半に、父がどういう人だったのか、ようやく垣間見ることができたように思います。
いつも忙しかった父と、一緒にちゃんと”生活”し、”会話をした”のは、昨年7月に父がすい臓癌になり、私が日本に滞在した9月までと、再発して日本に帰国した12月から3月、という短い期間だったことに気づかされました。
つまり、床でぐったりとしていて、トイレに行くのが最大イベント、の父になってしまってから。
元気だった時の父とは、あまり深く話したことがありませんでした。
メールやメッセージでくだらないやり取りはしてましたが、彼の生き様だったり、日々どんな日課で暮らしているのか、とか全く知りませんでした。
78歳の父の記憶力が抜群なことに驚かされる日々
最初に驚いたのは、何につけても記憶力が非常に良いこと。
父の印象は、丸っと言うと、(というか、自称か)多動で、アバウト系。
170CM、58キロと細身だった割に、”神経質”とか”几帳面”というより、ちょっと豪快な印象を与える風貌でした。
んが、これがまた、こまごまと、記憶力がとってもよく、広範囲に渡り、ものすごく細かく覚えていることにびっくりしました。
(あのちょこまか多動症だった父からは想像できん!)
もうずーっとベットに寝たきりだったので、何かと、ランダムに、物のありかをワーワー尋ねていたのですが、
「〇〇はどこにある?」と聞くと、
「机の右上の細い引き出しの、右奥にある。」とか、
「母の△△がないんだけど、どこにあるか知らない?」と聞くと、
「居間のテレビ台の左側一番上の、右側にある」とか、人の所有物のありかまで、よどみなく即答してくる。
よくまあ、そんなにすべての物の位置を細かく覚えているもんだ!と、秘かに舌を巻く。
また、「渋谷の××に行ってくるね。」と言うと、
「それなら、進行方向一番前に乗って、9番出口を出るんだよ。」
「△△をしに、ポチと車で行くね。」と言うと、
「そこには、駐車場がないし、周りの駐車場も分かりにくいから、タクシーで行け。」
とか、(別に聞いてないのに)とにかく記憶や指示が細かい!
こりゃ、母が、なんでも父に聞いて、ぼーっと生活してしまっていたのも、ある意味当然かも、と思う日々でした。
あとは、やはりさすがだな、と思ったのは、もう外に行くことはできない状態でありながら、政治・経済をはじめ、外界への好奇心は最後までもち続けていました。
”新聞タイム”を設けて、朝刊を読み聞かせしてたんですが、ぐいぐいと聞きこんできました。
ぐったり、ほんとに身体を起こすこともままならない寝たきり状態なのに、これまたつっこみが厳しい。
「昨日のイランの情勢はどうなった?」
「自民党の〇〇議員のあの記事について、なんか進展はないのか?」とか、これまた、おっきなニュースではなく、ちっちゃなちっちゃなニュースについても、よく覚えてる。
「さー、イランについては今日は書いてないね。」なんて言いながら、読み上げた私が、そのニュースの内容はおろか存在さえまったく覚えてない、なんてこともざらでした・・。とほほ
私のこじんまりとした記憶スペースに、父の記憶が残ってるうちに、書き記しておこうと決めました。(決めたことを忘れないうちに、明日にでも!)
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