最近知り合った日本人男性のKさんから、なんか久しぶりに心底驚く話を聞きました。
もともとは、私的に、彼が今やっている教育系の仕事にとっても興味があり、情報交換がてらランチすることに。
仕事の話をお互いにいろいろと話してました。
すると、少しして、「今は諸事情によりこの仕事をしているけれど、本当は他に絶対にやりたい仕事があるんです」と。
え?!なんだか、この“絶対”という言葉が気になって、「え、そうなの?今の仕事もやりがいありそうだけど。」と言うと、
「ナイキで働きたいんです」と。
ほぇ~。ナイキ!それはまた意外。
今だってきちんと磨かれた革靴履いてるし。
アメリカのこの地域で初めて見たくらいのシティーボーイ風で、かっこうも雰囲気もスポーツ(というかナイキ)とは結びつかないいでたち。
今30代のKさんは、お父さんの仕事の都合で、10歳の時にアメリカに来て、2年間過ごしたそうです。
その町には、日本人は1人もいなくて、というよりアジア人がいなくて、黒人と白人が半々でした。
そんな環境に突然入らなくてはいけなくなり、もうとにかく大変。
学校の生徒はもちろんのこと、町の人達もアジア人をほとんど見たことがなく、「なんだこいつは?」と遠巻きにされるのを感じたそうです。
授業も何言ってるのか分からないし、もっと最悪だったのが休み時間やランチ時間。
食堂のおばさんおじさん達も、「親切のしの字って何?」って感じで、ランチを買うのにも嫌な思いをしてました。
英語は分からないし、コミュニケーションの取り方もそれまでの日本でのものとは違い、どうしてよいやら分からず鬱鬱する毎日。
分からない自分にもイライラして、とにかく辛い毎日だったそうです。
(しかし、ほんとに、想像を超えて海外移住って大変。「子供はすぐに順応するからいいわね~」というのは幻想ですね)
そんな中、転機が訪れました。
それは、ナイキのスニーカーを履いた瞬間。
「強くなれた!」「強くなった!」という感情がふつふつと湧きあがってきたそうです。
なぜナイキかというと、学校でかっこいい上級生が履いているのを見て、どうしても欲しくなり、親にねだって買ってもらいました。
生まれて初めて、すごく欲しいと思った物。
その後、ぐっと自信を持てるようになって、得意だったスポーツを通じて友達を作っていけたそうです。
すごい経験。
確かに、物って、単なる物体だけではなく、人の想いとかなんかの象徴だったりもしますけど。
自分にとって転機となるような”物”。
たぶんそんな経験はしたことないし、そういう経験を初めて知りました。
やっぱり、たまには、身近な人以外ともコミュニケーションしてみると、驚きの発見があるな~。